野丁場(のちょうば)とは?町場との違いと仕事の特徴
野丁場(のちょうば)の意味と歴史
野丁場(のちょうば)とは、公共工事などの大規模な工事現場を指します。この言葉が生まれたのは江戸時代の頃で、住宅工事を行う町場(まちば)の職人が蔑称として使用していたのが由来です。蔑称とされていた理由は、技術を認められ、仕事を請けていた町場に対し、野丁場は人数を集めることを最優先としていたためです。
しかし、現在は差別的な意味はなく、単に現場を区別する呼び方として使われています。最近では、大手建設会社やゼネコンが扱う大規模な工事現場(ビル、商業施設など)のことを野丁場と呼んでいます。一方で、町場は個人の顧客や小規模の会社から仕事を請けることが多く、主に住宅工事の現場を指しています。
野丁場と町場の違い
野丁場と町場の違いについて、仕事と文化の観点に分けてそれぞれ解説します。
仕事の違い
野丁場と町場では、現場の規模が違うので求められるスキルが異なります。野丁場の仕事は工事の分野ごとに分業化されていて、全体の工事スケジュールに従ってそれぞれが担当する作業を進める形で行われます。少しでも工期がずれるとほかの工事に影響が出るため、工期に間に合わせることが重要です。
一方、小規模で職人の人数が少ない町場では、1人1人が幅広く業務を行う必要があります。また、顧客と直接やりとりする機会が多く、丁寧なコミュニケーションが求められます。顧客の思いを汲み取り、どのように工事に落とし込んでいくかという点で、職人としてのセンスが表れるでしょう。
文化の違い
野丁場の職人は顧客に直接関わることがなく、職人同士やゼネコンの現場監督とのやりとりがほとんどです。
1人で幅広い仕事をこなす町場とは違い、野丁場では完全分業制がとられています。担当分野の工事に集中できるため、職人1人1人の専門性が高いのも特徴です。
まとめ
野丁場とは、多くの職人が集まる大規模な工事現場で、町場は住宅工事などの小規模な工事現場を指します。
このように野丁場と町場にはそれぞれ違いがあるので、どちらの現場が自分に合っているかを見極めることが重要だと言えます。建築現場を見かけた際は、ぜひ文化の違いなどにも注目してみてくださいね。