生コンクリートとは?製造から運搬までご紹介 | 土木・建築の仕事との出会いを提供するメディア - アイゾメ
ノウハウ
作成日:2022.08.03 更新日:2022/08/02

生コンクリートとは?製造から運搬までご紹介

生コンクリートとは?

生コンクリート(通称「生コン」)とは、工場での練り混ぜを終え、まだ固まっていない状態の柔らかいコンクリートのことを指します。かつては工事現場で材料を配合し、練り合わせてコンクリートを作っていたため、品質が不安定で手間もかかっていました。現在は専用の工場で製造されているため、安定した品質が維持できるようになっています。

生コンクリートの使用が急速に普及したのは、1960年代。地下鉄丸ノ内線の工事で大量に使用されたことで、経済性の高い建築材料として認められたのがきっかけです。今では高層ビルや病院、学校、道路、橋やトンネルなど身の回りのさまざまな建築物に使われており、現代の暮らしには欠かせない材料と言えるでしょう。

生コンクリートの原材料と種類

次に、生コンクリートの原材料と種類について詳しくご紹介していきます。

生コンクリートの原材料

生コンクリートは、主に「セメント」「混和剤」「骨材」の3つを原材料として作られています。

セメント 水や溶液と反応し、硬化する性質を持った粉が「セメント」です。コンクリートを固めるために不可欠な材料で、他の原材料との接着剤として使用されています。
混和剤 コンクリートの流動性を維持するために使用されるのが「混和剤」です。コンクリートは柔らかいほうが扱いやすいですが、流動性を高めるために水を混ぜすぎると強度が低下してしまいます。混和剤を混ぜることで、配合する水の量を減らせるのです。

また、セメントが固まるまでの時間を短縮させる効果を持つものもあり、強度や耐久性の向上が期待できます。

骨材 「骨材」は、砂や砕石、砂利などのことで、その粒の大きさによって「細骨材」「粗骨材」に分けられます。増量剤としての機能を持つためセメントの分量を減らすことができ、作業のしやすさと強度の高さを両立させられます。

生コンクリートの種類

生コンクリートは、材料の種類、使用目的、強度などによってさまざまな種類に分類されます。ここでは、代表的な6種類をご紹介します。

1.普通コンクリート 砂利、砕石、高炉スラグなどの「普通骨材」を使ったコンクリートが「普通コンクリート」です。主に住宅や商業施設、道路や鉄道向けに使用されており、寒さや暑さが厳しい場所、高層ビルやダムなど特殊な場所ではあまり使われていないようです。

JIS規格で定められている強度範囲は18N〜45N/mm2です。

2.舗装コンクリート 普通コンクリートより単位水量を減らした硬練りのコンクリートが「舗装コンクリート」です。道路や空港などの舗装用として用いられることが多く、すりへりに対する抵抗性、気象作用に対する耐久性が大きいことなどが求められます。
舗装コンクリートのスランプ値は、2.5〜5.0cmと定められています。スランプ値の範囲が広いため、指定されるスランプによってはダンプトラックでの運搬が必要です。

3.軽量コンクリート 軽量骨材を使ったり多量の気泡を混ぜたりすることで軽量化を実現したのが「軽量コンクリート」です。主に建築物の重量軽減を目的として使用されています。建築物が軽くなると地震力や基礎への負担が減るため、建築のトータルコストを抑えられるというメリットがあります。
単位容積質量は、普通コンクリートが2.30〜2.35t/m3なのに対し、軽量コンクリートでは1.4〜2.1t/m3程度です。
4.高強度コンクリート 普通コンクリートより強度を高めたのが「高強度コンクリート」です。セメントが多く使われている一方、水は非常に少ない量しか含まれていません。高耐久性と強度を持つことから、高層マンションなどに使用されています。

JIS規格では「呼び強度が50か55もしくは60のコンクリート」、日本建築学会では「設計基準強度が36N/mm2を超えるコンクリート」と定められています。

5.流動化コンクリート 普通コンクリートに混和剤の一種である流動化剤を混ぜ、流動性を高めたのが「流動化コンクリート」で、柔らかく施工しやすいのが特徴です。単位あたりの水量やセメント量を増やす必要がないため、硬化後のひび割れを防ぐことができます。

流動化後のスランプ低下が大きいことから、流動化してから打ち込み完了までをできるだけすばやく行わなくてはなりません。外気温にもよりますが、20〜30分以内に打ち込みを完了するのが望ましいとされています。

6.高流動コンクリート 高性能AE減水剤を添加し、材料分離抵抗性を損なわずに流動性を大きく高めたのが「高流動コンクリート」です。鉄筋量が多い場合や、形状が複雑な構造物に適しています。
その最大の特徴は、締め固め作業が不要なこと。バイブレーターで振動を与えなくても、打ち込むだけで型枠の隅々まで行き渡ります。

生コンクリートの製造から運搬まで

生コンクリートの製造は、工場でセメントなどの材料を受け入れるところから始まります。品質チェックを受けたそれぞれの材料は「バッチャープラント」と呼ばれる建物の上部に運ばれ、ベルトコンベアを通り、正確に計量されてから「ミキサ」に入れられます。

すべての材料をミキサで均一になるまでしっかり練り混ぜたら、生コンクリートの完成です。工事現場までの運搬は、工場がワンストップで担うこともありますが、一般的には専門の運搬業者によって行われます。

生コンクリート運搬業について

完成した生コンクリートを、荷台にタンク(ドラム)の付いた「コンクリートミキサー車」で工場から工事現場まで運搬するのが、生コンクリートの運搬業です。効率の良い運行計画の作成からミキサー車やドライバーの手配、そして実際の運搬まで、工場と現場のつなぎ役として重要な役割を果たしています。

生コンクリートは、時間が経つにつれて固まる性質を持っており、スランプ値や空気量もどんどん変化していきます。そのため、生コンクリートの運搬時間には、規定が設けられています。

たとえばJIS規格では、工場で練り混ぜを開始してから荷卸し地点となる現場に到着するまでを1.5時間以内とするよう定めています。工場で練り混ぜた後は、できるだけフレッシュなまま現場に届けることが求められるのです。

大きく品質が変化した生コンクリートを使ってしまうと「ジャンカ」(骨材が一部に多く集まり表面に空隙になること)などの不具合につながり、構造物の出来上がりに大きな影響を与えかねません。生コンクリート運搬業者は、物流システムなどを活用しながら、最適なタイミングで生コンクリートを現場へ届けるべく取り組んでいます。

まとめ

生コンクリートは、その名前の通り「生もの」です。そのため、鮮度を保ったまま運搬することが求められるため、運搬時の扱いが構造物の仕上がりを左右すると言っても過言ではありません。

生コンクリートの運搬業は、私たちの生活になくてはならない建物やインフラに密接に関わる仕事。自身が届けた生コンクリートが建物として形になっていくのを実感でき、やりがいも大きいでしょう。興味がある方は、コンクリートを実際に打ち込む「打設工事」についてもぜひ調べてみてください。

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