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ノウハウ
作成日:2022.04.19

コンクリート打設工事とは?仕事の流れや注意点を紹介

コンクリート打設工事とは

コンクリート打設工事とは、「生コンクリート」(固まる前のコンクリート)を型枠の中に流し込み、建物の基礎を作る工事です。流し込んだ生コンクリートを型枠の隅々まで行きわたらせた後、中に含まれる空気や水を道具を使って排出していきます。

型枠に充填した直後の生コンクリートは柔らかいですが、時間が経つと徐々に固まっていきます。そのため、コンクリート打設工事は時間との勝負です。

生コンクリートが固まる前に作業を完了させる必要があるので、事前に工事手順をしっかりと理解し、入念な準備をしておくことがポイントです。

コンクリート打設工事に関わる職種 

コンクリート打設工事にはさまざまな手順があり、一つの職種だけでは完結しません。現場の作業員全員が綿密に連携することが、工事の品質を左右するのです。

ここでは、コンクリート打設工事に必要な職種について、それぞれの役割をご紹介します。

●施工管理や現場監督のコンクリート担当者

現場の作業員が効率よく仕事を進められるようにすることが施工管理や現場監督のコンクリート担当者の主な役割です。具体的には、工事当日の計画を立てたり、業者を手配したりします。

また、コンクリート担当者は、工事の準備からコンクリート打設の管理、コンクリートの品質管理、不具合の修正といった工事の一連の流れすべてに携わります。

工事の準備では、打設日や打設箇所、コンクリートの配合など、工事に必要な情報を各関連業者へ連絡するほか、工事で使用する機器を手配します。当日現場に来た作業員に対して打設計画を説明するのも重要な仕事の一つです。

打設の作業中は、生コンクリートが固すぎないか、型枠の隅々までしっかり行き渡っているかなど、仕上がりの品質につながるポイントを確認していきます。

また、打ち込み直後には「ジャンカ」(砂利などの粗骨材が表面にむき出しになっていること)や「ブリージング」(コンクリートの表面に水分が浮いてくること)といった不具合が発生していないかなどの確認を行ないます。

●生コンクリートの運搬業

練り混ぜられた生コンクリートを、「コンクリートミキサー車」でコンクリート工場から工事現場まで運搬するのが生コンクリートの運搬業です。

時間と共に固くなる生コンクリートは、一度固まってしまうと工事に使うことはできず、廃棄しなくてはなりません。

そのため、運搬業者には、安全に素早く現場まで生コンクリートを運び込む作業が求められます。

また、運搬の途中で生コンクリートの材料が分離しないよう注意が必要です。分離が発生してしまった場合は、十分に練り直しを行なってから現場に運搬します。

●コンクリート圧送業

現場に運搬された生コンクリートを、「コンクリートポンプ車」を使って型枠内に圧送し打ち込みを行なうのがコンクリート圧送業です。

主に「コンクリートポンプ工法」と呼ばれる技術を用いて、コンクリートの配分や型枠の特徴などを考慮しながら設計値通りの強度に仕上げていきます。

コンクリートの特性を理解していることはもちろん、十分な工事の経験と高い圧送技術が求められる職種です。

●左官業

生コンクリートを打ち込んだ後、表面を仕上げていくのが左官業です。表面の高さだけでなく、コテから伝わる感覚を頼りにコンクリートの密度も均一に仕上げていきます。

また、コンクリートが固まらないうちに作業を完了させなければならないため、スピーディーな作業が求められます。

●工事現場ガードマン(警備員)

コンクリートミキサー車やコンクリートポンプ車などの工事車両や、現場付近を通る歩行者を誘導するのが、工事現場ガードマン(警備員)です。

ガードマンは、工事車両がいつ通るかなどの工事の流れや、学校が近くにあるといった現場付近の環境を把握しておく必要があります。現場の安全を守るために大切な役割の一つです。

コンクリート打設工事の流れ・注意点

さまざまな職種の人々が連携することによって行なわれるコンクリート打設工事ですが、どのように作業が進んでいくのでしょうか。ここでは、工事の一連の流れや注意点についてご紹介します。

①工事前の打ち合わせ・工法選定

やり直しのきかないコンクリート打設工事では、関係者全員が工事の内容を把握してスムーズに作業が進められるよう、事前の打ち合わせが非常に重要です。

打ち合わせでは、事前に作成された「打設計画書」をもとに、コンクリートの配合や打設量、打設の順序などを確認していきます。

また、打設方法を事前に決めておくことも重要です。

コンクリートを打設する方法には、コンクリートポンプ車で圧送する方法と、バケット(生コンクリートを入れて打設場所まで運搬し排出する容器)を使いクレーンで運ぶ方法などがあります。

打設の規模や生コンクリートの配合状況などからどちらを使って工事を行なうのかを決めておく必要があります。

②型枠の確認

コンクリートを打ち込む型枠が、設計図面通りに作られているかを確認します。型枠が正しく作られていないと、完成した建物の強度不足につながる可能性があります。

型枠の位置や「かぶり」(鉄筋からコンクリートまでの最短距離)の厚さ、中にごみが落ちていないかなど、さまざまな観点からチェックすることが重要です。

③コンクリート受入検査

工事現場に運ばれてきた生コンクリートが、注文通りの配合になっているかを検査します。

運搬業者から渡される納品書の内容を確認するのはもちろん、生コンクリートの柔らかさを確認する「スランプ試験」、「空気量試験」などの検査を現場で行ない、品質が適切であるかどうかをチェックします。

④打ち込み

受入検査に合格した生コンクリートを、事前に決めておいた打設方法で実際に打ち込んでいきます。このとき特に注意したいのが、生コンクリートの打ち重ね時間です。

先に流し込んだコンクリートが固まらないうちに素早く次を打ち込まないと、コンクリートが一体化できず、「コールドジョイント」という不具合を引き起こしてしまう可能性があります。

打ち重ね作業は、気温が25度未満であれば120分以内、25度以上であれば90分以内を目安に完了させる必要があります。

⑤締め固め

打ち込みの後、コンクリートが型枠の隅々まで行きわたるようにするのが締め固めです。

「バイブレーター」と呼ばれる棒状の機器を打ち込んだ生コンクリートに差し込み、内部から振動を与えていきます。

この作業によって、打ち込みの際に入り込んだ気泡や水分も排出することができ、仕上がり品質の向上が期待できます。

⑥表面ならし(仕上げ)

締め固め作業でできた表面の凹凸を、コテなどを使って平らにならしていきます。この仕上げ作業によって、コンクリートにひびが入るのを防ぐことができます。

まとめ

今回は、コンクリート打設工事について作業の流れや必要な職種についてご紹介しました。コンクリート打設工事は、その仕上がりが建物の強度を左右するとても重要な工事です。

コンクリート打設工事に関わる職種の方は、当日に現場で効率良く作業ができるよう、工事の手順などをよく理解しておきましょう。

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