しゅんせつ工事とは?仕事内容を紹介 | 土木・建築の仕事との出会いを提供するメディア - アイゾメ
ノウハウ
作成日:2022.03.07 更新日:2022/03/04

しゅんせつ工事とは?仕事内容を紹介

しゅんせつ工事とは

「しゅんせつ工事」とは、船が安全に運航できるよう海底や川底の土砂などを取り除く工事です。

船舶の通路である「航路」や、船舶が停泊したり向きを変えたりする場所である「泊地」がある港湾付近では、座礁などが起こらないよう十分な水深が確保されていなければなりません。

昨今、より多くの貨物を運ぶため船舶の大型化が進んでおり、船が通る場所にはより深い水深が求められるようになっています。このように、航路や泊地を整備するために欠かせないのがしゅんせつ工事なのです。

なお、しゅんせつ工事は、港湾付近のほか、河川でも行なわれています。川底に堆積した土砂を取り除くことで河川の流量が確保され、大雨の際などに氾濫を防ぐのがその目的です。

しゅんせつ工事の方法

しゅんせつ工事には「ポンプしゅんせつ」「グラブしゅんせつ」と呼ばれる2種類の方法があります。それぞれの違いについてご紹介します。

ポンプしゅんせつ

土砂と海水を一緒に吸い上げて取り除く方法です。まず「ポンプしゅんせつ船」の前方に設置された「吸水管」を海や川の底に下ろし、吸水管の先端に付いたカッターで土砂を切り崩していきます。そして、切り崩された土砂を、吸水管で海水と共に吸い上げ、船の後方に付いている排砂管を通して埋立地まで運び出します。

ポンプしゅんせつは、土砂を取り除くスピードが早いため大規模なしゅんせつ工事に向いています。一方、土砂が固い場合は吸い込むのが難しいという側面もあります。

グラブしゅんせつ

土砂をつかみ取って取り除く方法です。「グラブしゅんせつ船」の先端に付いた「グラブバスケット」を水底に下ろし、土砂を直接つかみ取っていきます。つかみ取った土砂はいったん「土運船」へ積み込まれ、埋立地まで運び出されます。クレーンゲームをイメージするとわかりやすいでしょう。

グラブしゅんせつは、ポンプしゅんせつに比べると土砂を取り除くのに時間がかかるため、広範囲の工事には向いていません。一方、狭い場所での作業が可能なほか、固い土を取り除くのにも向いている方法です。

しゅんせつ工事の給料、働く環境をチェック

次に、しゅんせつ工事の仕事環境について説明します。しゅんせつ作業員の一日は、朝礼から始まるのが一般的です。朝礼でその日の作業内容などを確認した後は、しゅんせつ船を夜間停泊地からしゅんせつを行なう場所まで移動させます。

移動が完了したら作業の開始です。深度を測量しながらしゅんせつ作業を進め、夕方には作業を終えてしゅんせつ船を夜間停泊地に戻します。

しゅんせつ船に燃料を補給したり、進捗図を記入したりした後、終礼を行ない一日の仕事は終了です。

しゅんせつ工事の仕事をするには

しゅんせつ工事業は、建設業法で定められている建設業の許可業種(全29種類)に含まれています。そのため、建設業許可を取得した企業のみが工事を請け負うことができます

この許可を取得するための要件の1つとなるのが、営業所ごとに「専任技術者」を配置することです。専任技術者には、以下のいずれかの資格を保有している人材を選ぶ必要があります。

土木施工管理技士

土木施工管理技士は、国家資格である「施工管理技士」の1つです。土木施工管理技士には「1級」と「2級」の2種類があり、どちらもしゅんせつ工事の専任技術者としての要件を満たします(一般建設業の場合)。

それぞれの級で受験資格が異なっており、たとえば2級の場合、「大学の指定学科を卒業後1年以上の実務経験」「短期大学、高等専門学校(5年制)の指定学科を卒業後2年以上の実務経験」など、条件が細かく定められています。

技術士

技術士は、特定の専門分野において高度な技術力を持っていることを証明する国家資格です。技術士の資格は全部で21の部門に分かれていますが、しゅんせつ工事業の専任技術者として認められるのは、建設部門・総合技術監理部門(建設)、建設部門「鋼構造及びコンクリート」・総合技術管理部門(建設「鋼構造及びコンクリート」)、水産部門「水産土木」・総合技術監理部門(水産「水産土木」)のいずれかです。

なお、土木施工管理技士や技術士の資格がなくても、高校卒業(指定学科)であれば5年以上、大学・高専卒業(指定学科)であれば3年以上のしゅんせつ工事の実務経験を積むなどすることで、専任技術者として認定されます。

しゅんせつ工事の将来性は?

日本の貿易量において、海上輸送が占める割合は99%以上と言われています。航空輸送も発達してはきているものの、海上輸送がなくなるということは考えられず、しゅんせつ工事の需要も当面は衰退することはないでしょう。

さらに、船舶の大型化によってより水深の深い航路が求められるようになってきているほか、今ある航路のメンテナンスも必要です。そのため、しゅんせつ工事は今後も安定したニーズがあるといえるでしょう。

まとめ

しゅんせつ工事は、普段の生活ではほとんど目にすることのない工事です。しかし、海や河川を安全に保つためには欠かすことができず、今後も安定的に必要とされる仕事であるといえるでしょう。ぜひ、しゅんせつ工事に関わる求人をチェックしてみてください。

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